著名・有名人子育てインタビュー|子ども虐待防止オレンジリボン運動

ひとりで悩まないで著名・有名人子育てインタビュー

松本裕見子さん
タレント

広島のご当地タレントとしてお馴染みの松本裕見子さんに、子育てについてご自身の経験や周りのサポートの大切さなどをお聞きしました。

松本さんはテレビなどの仕事が忙しい時に子どもを授かっていますが、仕事との両立はどのようにされていましたか?

松本:妊娠したのが、今から11年前、ちょうど「あっぱれ熟年ファイターズ」という番組に出演していて、県外や海外の泊まりのロケもバンバンあったんですよね。早朝から深夜まで時間も不規則でした。しかも当時41歳、高齢出産になるけど大丈夫か?というまわりの心配もありましたが、おかげさまで妊娠中はすこぶる元気で(笑)。それこそ、つわりでロケの時に料理を食べるのも苦しいのかなって時も、逆に私「食いづわり」ってものがあるんですよ。食べないと気持ち悪くなるっていうか...それでなんと16キロも太ったんですけど(笑)。でもそのおかげでロケをやりながら楽しく妊娠期間を過ごすことができました。

それはパートナーが協力をしてくれたようなことはあったんですかね?

松本:そうですね、ありがたいことに実家が近いものですから父とか母も近くにいるし、旦那さんも家事とかに参加してくれたりっていうのはすごく良かったです。私が寝ていたらお皿を洗ってくれたりとかして助かりました。

産休を経て子どもが大きくなってきたら、色々と育児で大変なことがあったかと思います。

松本:はい!私は子どもが3ヶ月の時に仕事に戻りました。ちょっと早いかなとも思ったんですが、4月の番組改編期で新しい期が始まるので、4月から復帰させて頂きたいなと思って、私の実家や旦那に頼ったりしながら復帰しました。旦那も出張があったり、私も泊まりのロケにすぐ行くことになったりしたので、とくにウチの母には感謝しています。夜泣きの時期には一晩中寝られなくて大変だったと聞きました。でも、それぞれが「私がやる」みたいな感じでウチの父も母も旦那もすごく積極的にやってくれたので、それが本当にありがたいと思っています。

育児で大変だったと感じたことはありますか?

松本:やっぱりすべての生活が子供中心になると自分軸で物事を決められなくなることですかね、特に幼稚園に行き出すとお弁当を作ったり、色々な行事とかに参加したり、やることも増えてきます。忘れものもよくして先生方にご迷惑をおかけしました(笑)。 でも嬉しかったのはママ友が出来たこと、幼稚園に行ってみると私は40代だけど、もちろん20代前半のお母さんも多く、年齢が幅広いのに一緒の子育ての会話ができるっていうのはすごく楽しかったですね。それこそ年齢でいったら親子ほど違うお母さんたちと話をするわけなんだけど、「うちの子はまだコレ出来ないけど大丈夫かな?」とか「実家が遠いし、旦那も遅いし、頼る人いなくて大変、ストレス溜まる〜」とか子育ての悩みって、お母さんの年齢には関係なく、みんな似たようなことで悩んでるんだなぁって、ホッと安心したりしてました。

子育ての悩みを話せる人が近くにいるのは大事ですね。

松本:そうなんです。そういう「自分だけじゃないんだ」っていう色々相談できる場っていうのが、保育園や幼稚だったりとか、子供達が遊ぶ公園だったりとかで、お母さん同士が話せる場が今までだったら色々あったのに、今はこのコロナ禍でそういう場所で一切できなくなっていたから大変だと思います。小学校でも、参観日やイベントが中止になっていたから、ここ何年かお母さん同士が話す機会がなく、ママ友達も出来にくい状況だったと思います。あと、コロナが心配で実家にも帰るのを控えてたり、子育てを人に頼れない状況が続きましたよね。だから、今、悩みを抱えてもどこにも吐き出せず、ストレスが溜まって、児童虐待も増えているとも聞きました。この間もニュースで出ていたけど、今、そういう風に一人で抱え込んで悩んでいるお母さんがたくさんいるんじゃないのかなと思います。子育てに熱心なお母さんほど一生懸命だし、つい色々な情報をみると、それをどうしても「ウチの子もできないとおかしい」「なんで出来ないの」みたいに思って悩んでしまうことはあると思います。

コロナ禍で子育て環境にも影響が出ているんですね。

松本:そう思います。井戸端会議と言うか、集まれない、みんなで共有出来る場所がないっていうのがね、本当に辛いと思います。すべて自分の中で考えてしまうから。「でもそれってそうじゃないんじゃない?」って言ってくれる人がいるだけで違いますね。よく言っていたのは、「お母さんだって弱音を吐いていいよね」と言う言葉!お母さんは子育てに全力投球しないといけないって自分も思い込んだり、周りから思われがちだけど、もう息抜きしよう!みたいな(笑)。 子育て中でも友達と美味しいランチを食べたり、趣味の時間を持ったり、そういうお母さんが自分の時間をちゃんと持つことが大事だと思います。煮詰まっているお母さんには、「お母さんが笑顔でいることが子どもにとって一番幸せなんじゃけぇ、自分がいっぱいいっぱいになってつらい顔をしている方が、子どもは敏感に空気を感じるからそれは一番良くないよ」とアドバイスをしていました。

松本さんは、どのような息抜きをされていたのですか?

松本:「ちょっとマッサージに行ってくるね」とか「映画行ってくるね」とか、子どもをちょっと見てもらって行ってくるとかっていうのはありましたよね。私は子どもを見てくれる人が、有難いことに周りにたくさんいたけど、そういう人がいない場合も積極的に保育園とか託児施設とか活用してもらっても良いと思います。お母さんって罪悪感があるんですよ、自分がいるのにちょっと子どもを預けて自分のことをするっていうのが、申し訳ないというか、私も最初そうだったんですけど、子育て中に自分のことに時間を使うことにすごく罪悪感があって、だけど「そんなことないよ。元気でいるのが一番なんじゃけ、たまには息抜きをしましょうよ」に、やっとたどりついてふっと楽になりました!

ちょっとの間でも自分の時間っていうものがあれば気持ちがラクになりますね。

松本:自分の中でリセットして、元気で子どもに向き合えるっていう気分転換をお母さんはしていったらいいと思います。私は仕事がそういう気分転換なところもあって、仕事してみんなとワイワイ喋ったりしていると、逆に子どもや家族に感謝して愛おしくなる感じがします。1人きりで子育てしている状況に行き詰まったら、悩みを抱えこまず、そういう色々な人や場所に手を借りるっていうことはおすすめしたいなと心から思います。

お仕事を中断されて育児を経て、自分の中で一番変わった部分はありますか?

松本:あの、今でもよく覚えてるんですが(笑)、子どもが幼稚園から小学校に上がるときに就学前身体検査というのがあって、わざわざ仕事を休んで連れていったんですね。本人も行くまで張り切っていたので安心してその場所の体育館まで来たら、「嫌だ!検査受けない!帰る!」って子供が大暴れ!もう大泣きで、まわりの先生方に心配されるほどで、恥ずかしいやらなんやらで、さすがに落ち込んで、私がきちんと子育て出来てないからじゃないのかとか怒るより悲しくなったんですよ、、ただただ子供が我儘を言っただけと思って、「何で急に行きたくなくなったの?」と聞いたら、子供が「せっかくママがお休みでいるのに。一緒に遊びたかった」って言われて、思いもよらない言葉にガーンときました。子供の行動にもきちんと訳があるんだなと、勝手に自分の思い込みで相手の気持ちを決めないっていうのは、子どもから学びましたね。あなたこうなんじゃないのっていう風に、相手の気持ちを自分なりにわかっているつもりだったけどちゃんと聞いてみないとわからないことっていっぱいありました。それからは、頭ごなしに腹をたてるのではなくて「それってどうしてそう思うの?」って聞くようになりました。そして、これは夫婦関係にも言えることかもしれないですけど、勝手にこっちが怒ったりとか、向こうもって、そのうちお互い口を聞かなくなるというパターンよくあるじゃないですか?(笑)。そういう時も自分の思いをきちんと話して伝えてるのとが大事だなと思います。言わなくてもわかるでしょじゃなくて、思っていることがあるんだったら自分も話すし相手にも話してもらえるように、家族もコミュニケーションが大切ですよね。

子育てをされてきて、一番楽しかった部分は?

松本:本当に毎日が楽しいです(笑)。色々な心配事はあるけども、こうしてほしいああしてほしいっていう欲求はあるけども、でもやっぱり元気で笑っていてくたらそれだけでいいなっていう感じ。子どもが楽しそうにしてくれていることが一番幸せじゃないですか。私達は色々と大人になってしまって、日々忙しくしてるとなかなか気づけないことを、子供と一緒にいることで見つけてくれたりとか。例えば「今日は空が綺麗だよ」とか、大人からしたらもう当たり前で感動するようなことでないとしても、子供がすごい感動してくれることで、親ももう一回感動を味わせてもらえることが子育ての喜びなのかなとも思います。

松本さんがテレビに出ているときとかは、お子さんは何か言ったりするんですか?

松本:そうですね、何となく最初から「ママの仕事はテレビの仕事」みたいな認識しているみたいで、最近はチェックが厳しく、「今日のコメントはちょっと...」とか「また来週というのをまた明日と言い間違えたね」とか、よくダメ出しをされるようになりました(笑)。

子どもが大きくなると、違う大変さが出てくると思います。

松本:そうそうそう。大変だと思います、今からが(笑)。ウチは男の子だし、特に最近では教えてくれないことも出てきたので。Twitterで誰々と連絡を取っていますっていうのも「ちょっと見せくれたっていいじゃん」と言っても見せてくれないし、最近は日記も見せてくれなくなりました。でもまぁそれも、自分も通ってきた道だし、それはそれでいいかなと思っています。 児童虐待について思うのは、子どもを自分の所有物だと勘違いして、自分の思い通りにしようと思うから腹が立てたり暴力をふるったりするんじゃないでしょうか、もちろんそれ以外にも追い詰められた状況もあるかもしれないけど、子どもは自分とは違う1人の人間で、親である私たちは授かって、子育てをさせてもらっているというような気持ちを忘れないようにしたいと思います。子供は絶対に親の思う通りにはならないし、それは自分がこうして生きてきて証明しているんじゃないですかね。

「189」というのが虐待を見つけた時に通告できる児童相談所虐待対応ダイヤルなんですけど、子育てに悩む方の悩みを聞いてもらうこともできるんです。

松本:「189」はまだ知らない人も多いんでしょう?絶対に活用するべきだと思います。友達や知り合いだと話しにくいことでも、第三者の行政を頼って、専門の方に話しをするだけで気持ちが全然違ってくると思いますし、とにかく一人で抱え込まないことっていうことを今、悩んでいる皆さんにはお伝えしたいです。

なかなか知らないことも多いのと、通告や相談の電話がしにくいという人が多いのかもしれませんね。

松本:そうですよね。それこそさっき言ったみたいに、子育て中に自分がSOSを出すことが申し訳ないというか、かっこ悪いというか「できるはずだ」「出来ない私が悪い」って思ってしまうんですよね。でもそれは違います。どんどんSOSを出して自分で弱音を吐いていかないと、辛い気持ちがどんどん大きくなって、それが児童虐待とかに繋がっていくんだと思います。切羽詰った時に、子どもがぎゃんぎゃん泣いたりしてどうしよう...って誰でもあると思うんですよ。「ちょっと静かにして!」っていうイラっとした気持ちも。みんな一緒なんだよ!悩んでるんだよ!安心して、自分のSOSを発信して言って欲しいと思います。

特に周りに相談できる人がいないお父さんお母さんに利用してほしいですよね。

松本:そうですね!シングルマザーやシングルファザー、パートナーがいても子育てがワンオペになってしまってたり、1人ですべてを抱え込むじゃなくて、たまには子どもを2~3時間預かってくれますとかいうサービスや施設を利用したり、そういう情報も知ってほしいですよね。もう何故だかやっぱり母親神話みたいなのがあるんですよ。私自身、そうした思い込みはないほうだと思っていたんですけど、やっぱり子どもをおいて仕事に出て子どもがぐずったりすると、やっぱり私がずっといなかったからかなとか、勝手に落ち込むことがあったんですよね。一生懸命なお母さんほど、そういうサービスを利用するのは罪悪感があるのかもしれない。でもそんなことないんです。ほったらかしすぎはもちろんいけないけど、ずっと長い時間をべったり一緒にいることだけが愛情じゃない。いつもどんなわがままも言ったとしても怒るときは怒るし、許すときは許すし。ちゃんとあなたを受け止めてあげますよっていう親の姿勢というか、覚悟をちゃんと見せていれば、一緒にいる時間の長さっていうのは、そんなに問題じゃないのかなと思います。

皆さんはテレビで見ている松本さんのイメージだと、元気で明るく子育てをされていると思われているんですけど、色々な人の支えがあってのことだったんですね。。

松本:これでも人並みに悩んだりはしました(笑)。でも子育ては人生のうちの限られた期間に与えられたプレゼントだと思っています。いずれ子どもは親から離れていくわけで、だったら、この期間を思う存分楽しめるように!そんな工夫を社会全体でしてあげられるようになったらいいなと思います!