著名・有名人子育てインタビュー|子ども虐待防止オレンジリボン運動

ひとりで悩まないで著名・有名人子育てインタビュー

尾関高文さん
お笑い芸人

広島出身のお笑い芸人で、テレビや舞台で活躍中のザ・ギース尾関さんに、子育ての楽しさや悩んだ時の解消法などをお聞きしました。

尾関さんは子どものためにキャラ弁当を作ったり、イクメンとしても知られていますね。

尾関:芸人という不安定な仕事なので、元々の気持ちが奥さんにあまり迷惑をかけてはいけないっていうスタンスではあるんです。なので、最初に子どもが生まれた時、世間では夜が大変で、旦那が見てくれないって困ったという奥様の悩みがあるじゃないですか。だけどそういうのは嫌だなと思っていて、最初の一年は僕が夜泣きを見ていました。半年くらいほとんど寝ることもないくらい…そういう思い切った取り決めを奥さんとして、それで俺が手伝ってないっていう記憶は将来めちゃくちゃ大きくなるじゃないですか。変に膨れ上がったりするので、そうならないように僕が夜泣きを見てミルクをあげてっていうのはしていましたね。

仕事との両立はどうだったのですか?

尾関:芸人の仕事は朝からあったりもしたんですけど、子どもの面倒は見ていますね。夫婦のバランスって家庭によって違うじゃないですか、僕の場合はそれくらいしてちょうどいい関係になるんです。逆に芸人だからできたことかもしれないですね。僕が仕事に出ている間は奥さんが子どもを見ていたので、夜に奥さんが寝てからは僕が全部見るような分担になっていました。

その中で大変だったことや、悩んだことはありますか?

尾関:とにかく奥さんが子どもを産んだ後って、色々と大変だって聞くじゃないですか。精神的にも体力的にもすごい大変な時があるので、そういうのを割と気を遣ってたまにハグをしたりとか(笑)。心の支えとか、スキンシップとか、そういう部分は非常に大事だったと思います。

子どもへのキャラ弁当作りはどういうきっかけで始めたんですか?

尾関:それも子育ての一環なんですけど、朝の仕事に出る前にできることないかなっていうのを考えていて、「お弁当は僕が全部やるよ」って話になったんです。お弁当を作るんだったら普通じゃ面白くないなっていうので、自分なりに作るようにしていったのがそういうキャラ弁当作りにつながってきたんです。子育ては、やっぱり自分から関わろうとしないといけませんね。子どもの情報って待っても入ってこないので、自分で無理やり関わろうとしていかないとわからないこともあるんだなと思いました。

夜に子どもの面倒を見て、朝にお弁当を作って、芸人さんというイレギュラーな仕事をする中でストレスは溜まったりしなかったですか?

尾関:溜まりますけど、僕以上に奥さんのストレスが溜まって家庭が壊れることが怖かったです(笑)。なので収めるところは収めて、奥さんに隠れてラーメン食べに行ったりスーパー銭湯に行ったり…っていうことはしていました。

奥様と喧嘩するということはなかった?

尾関:めちゃくちゃありますよ!でもあまり持ち越さない。でも、喧嘩が長引いて、あまり良くないなと思ったらハグですよ。これも大事なんで。

そのハグを奥様は嫌がらないですか?(笑)

尾関:嫌がっているかどうか本音は分かりませんが、一緒にやっていくパートナーとして気持ちが分かり合えていないといけないので、ハグをして安心してもらって「敵じゃない。仲間なんだよ」というのを伝えていかないと、夫婦関係は上手くいかないと思います。

仕事で忙しい時期は、奥様に子育てを任せるということもありましたか?

尾関:「今日はさすがに朝はやってくれよ」と思うこともありましたけど、でもそれを言ったら負けだなと思いました。意地じゃないですけど、これはもうやってやるみたいな感じで無理矢理やっている時期もありましたね。結局、隠れてスーパー銭湯に行くっていうようなことにつながるので、あまり良くはないですね(笑)。

逆に奥様からもっとこうして欲しいとか言われたことはありますか?

尾関:子育てに関してはそこまでは言われてはないですけど。ちょっとした「床は濡らさないで」とか小言というか、「そんな小さいこと言わなくていいじゃん」っていうことで喧嘩になることはありましたね。子育てに関しては、ある程度同じ方向を向いているというか、お互いに言っていることは正しいなと思いながら、僕が言いすぎたら奥さんが止めてくれます。喧嘩の時って余計な一言をいうじゃないですか、子どももそれって絶対嫌だと思うんですね。そういう時は「今の言葉はちょっと」っていうのは言ったりしています。

外で仕事をするのはお父さん、家で子育てするのはお母さんという役割分担をしている家庭が多いといわれていて、その分担がストレスの原因になっていることもあると思います。

尾関:アドバイスじゃないですけど、何か一つだけでも家のことを旦那さんがやってあげる。例えば勉強だけは休みの日に見てあげるとか、たまに野球に連れていってあげるっていうお父さんも素晴らしいなと思いますけど。何かしら子育ての仕事を一つ引き受けてあげて、あとは奥さんに毎日「ご飯が美味しい」ということと「ありがとう」ということを伝えて…ハグ。

言葉も大事だけど、行動も大事だということですね。

尾関:本当にそうです。ちょっとしたことでも感謝して、「ありがとう」を伝えて行動する。そういった気持ちが少しでもあれば奥さんのストレスが減っていくのだと思います。たまにお弁当作ったりしてあげたりっていうのも新しい発見が自分にあったり。実際にやるまではめんどくさい、大変だなと思うんですけど、やってみたら楽しいなって思うことが多いと思うんですよ。だから騙されたと思って、一回やってダメだったら終わってもいいので。普段とは違うことを一個でもやってみることで徐々に広がっていったり、変わったりすると思いますけどね。

育児をしてきて尾関さん自身が変わったことはありますか?

尾関:僕は元々子どもが好きでも嫌いでもなかったんですが、子どもがどんどん可愛くなっていきますね。子どもの成長や考え事を見て可愛いなと思うこともありますし、子どもを見て自分も昔こういうことしていたなって思ったり。自分のことを気づけるというか、「集中して勉強しろ」とか、「宿題とか帰ってすぐにやっちゃえばいいじゃんか」とか言いますけど、そんなの自分だってできていなかった。そう思うと「俺、人に言う資格ないのかな」って自分を振り返るきっかけにもなります。子どもに言っていた分、自分も頑張んなきゃなって思うようになりましたね。

お子さんが成長した時の接し方で、叱る時もあると思うんですけど、叱り方で気をつけていることはありますか?

尾関:基本的には、汚い言葉を使わないようには気をつけています。そういうところで抑えようとはするけど、たまに叱りすぎてしまうこともあるんですが、そういう時に子どもとの信頼関係があるかどうかが大事です。普段から遊んだり話したりしてよくわかっているから、子どもも叱られたとしてもわかっている。本当のお父さんはいつもこうだから、今ここで怒っているのは本当にいけないことなんだと。普段の接し方が叱る時に出ちゃうんだと思います。受け止め方に出るので、結局そこで普段のお父さんお母さんが子どもにどういう接し方をしているかという方が大事ですね。それがあれば叱っても子どもは分かってくれるし、そこまで気にすることはないと思います。

尾関さんのTwitterを見ていて、お子さんが結構面白い発想、テストの回答とか、お父さんの影響もあるのかなと思いました。

尾関:楽しいことをしようっていう生き方になってきているのはすごく嬉しいですね。あとは優しい子になってくれています。例えば、キングオブコントの決勝に行って、優勝できずに家に帰ってきたら、上の子が「私がいつかキングオブコントの審査員になってパパを優勝させてあげる」って言ってくれたので、嬉しくもあり悲しくもあり…。俺はいつまで出ないといけないんだっていう、怖い気持ちにもなりました(笑)。でも、この話は意外にも芸人仲間に響いて、かまいたちの濱家君は「すごく感動した!」とか言ってくれました。

お子さんは尾関さんがテレビに出ていることに対して何か言ったりしていますか?

尾関:すごい喜んでくれますよ。やっぱりテレビに出たら見てくれますし、たまに上の子は「もうちょっとあそこは前に出た方がよかったんじゃないの?」とか具体的なダメ出しをするようになって、すごく心が傷ついて…。

子育ての大変な時期に、周りや環境で助かったこととかありますか?

尾関:奥さんのお母さんが、すごく面倒を見てくれて助かりましたね。僕は近所におかんがいるので、家族同士で助けてもらえたっていうのはありました。芸人の先輩とか子供に自転車をプレゼントしてくれたり、同じ事務所の大竹まことさんとかムロツヨシさんとかは、ことあるごとにプレゼントしてくれたり、色々と助けてもらえたところはありました。

一人で溜め込んでしまうお父さんお母さんも多いと思いますけど、尾関さんは子育てに悩んだり迷ったりする時は周りに相談しますか?

尾関:友達に相談したりしますね。上手くいっていないとか、こういうことで喧嘩になったとか。友達に家族のことって相談しにくいじゃないですか、恥ずかしいとか苦しいことって話しにくいこともあると思います。だけど、何でも話した方が楽になると思うので体裁とか気にしないで悩み事があると友達に話した方が良いと思います。話すことで息抜きになっています。子育てを完璧にやっている人なんて誰もいないですからね。ちゃんとしているように見えるけど、実際は上手くいってなかったり。それでも転びながらでも続けて、時が進んで過去を振り返ると、そういうものだったんだなって今にもなると思えることってあるじゃないですか。それは一生懸命やっているからというか、後からみればそれでよかったんだなと思える時が必ず来るんだと思います。

「隣の家族は幸せそうなのに、何でウチは上手くいかないんだ」って思う人もいるけど、表面的なことだけでは分からないということですね。

尾関:おしゃれで幸せそうなインスタをいつもあげている人だって、大変なことが裏にあって、それをストレスのはけ口の一つとしてそれをやっているところもありますよね。本当に幸せな人は、他人に見せびらかすようなことはしませんよ!…僕の偏見かもしれませんけど(笑)。